Shichimendo

長梅雨の雨の合間の日に訪問す。
境内の「七面堂修営之碑」及び一乗山無二亦寺（日蓮宗）の縁起によれば，青銅製の経筒が出土したいわれを聞いた水戸藩二大藩主・光圀公が市毛の地に一寺を建立することを思い立ち，無二亦寺が開堂したのは光圀の死後，第三代綱条の元禄14（1701）年であった。
市毛・津田・田彦の者は藩命によって全て無二亦寺の檀家と定められ，併せて，市毛村の鹿島・吉田両明神は三十番神に，津田の鹿島明神も三十番神に，ここ田彦村鎮守の熊野三社権現は「七面大明神」に改めさせ，無二亦寺の支配下に置かれた。
その後，仏教嫌いの15代斉昭公によって天保14（1843）年に無二亦寺が廃せられた（その後復活しています）際には，七面大明神は吉田明神（国道6号西側の吉田神社でしょうか？）に改勧請させられた。しかし約140年間「七面大明神」を尊崇し続けてきた村人の熱情によって当地に「七面堂」が建立され，再遷座されたということだそうです。
境内に小さな祠が祀られていらっしゃいましたが，もしかしたら，こちらが熊野三社権現の名残かもと思いをはせつつ，参拝させていただきました。
補足ですが，七面大明神（七面大天女）とは，日蓮宗において法華経を守護する（女）神。光圀は数多くの神社寺院を破却しましたが，母君の久昌院が熱心な日蓮宗徒であったことから，日蓮宗贔屓という面があったようです。七面堂の前身が熊野三社権現ということは間違いないようですが，当地が元・熊野三社権現の境内だったかどうかは分かりません。また，市毛と津田の鹿島神社は，無二亦寺支配から脱して現代も鎮座されていらっしゃいますが，市毛村の吉田明神がどうなったか，残念ながら不詳です。

市のHPによると、七面堂の山頂に祭られている日蓮宗の守護神、七面明神（七面天女）を分祠したものだそうです。
境内？に建立された「七面堂修営の碑」には、昭和60年7月9日の記載があるので、その頃に建て替えないし補修がなされたものと推測されます。
石碑からは、最初に分祠したのは元禄13年の水戸藩主　徳川綱條とのことですので、かなり歴史のあるお堂で、当時は市毛に今もある無二亦寺の管理下だったものが、吉田神社に管理が移ったものの、檀徒の強い願いにより新たな寺として設立したとの記載か読み取れます。