森の六地蔵

富士吉田市下吉田の中心が現在の本町通り沿いとなったのは江戸時代以降であり、江戸時代以前はこの「森の六地蔵」が設置される「森（現・東町）」が下吉田の中心地であった。
福源寺、月江寺、小室浅間神社の下吉田の重要寺社仏閣は全て現在地より東側のここ森地区（東町）に存在していたことからもそれは明白である。
森の六地蔵の前の通りは、かつての「ふじみち」であり。富士道者（富士山への参詣者）が通った道である。
森の六地蔵のすぐ上には「八重神（やえがみ）」と呼ばれる古い場所があり、八重神→お茶屋町→古吉田→北口浅間神社というルートが江戸時代以前の富士登山ルートだったと推測される。
それらはいずれも、富士講が栄えた江戸時代以降の金鳥居（御師街）ルートよりも全て一本東側のルートである。

県道704号新田下吉田線と市道河大杉線が交わるT字の角にある。住宅街だが、森というのはこの辺り一帯(下吉田東町)の字であり、かつての森組(現在の下吉田中村や仲町、西町などを含んだ)の名残りである。すぐ東のバス停名も森であり、その先の愛染入口には「森の道祖神」もある。
陰刻が薄く摩滅しているが、碑陽向かって右に「元亀二辛未□□　仲春下旬□□」と読める。富士吉田市文化財審議会編・同市教育委員会昭和50年3月発行『路傍の石造物』p.55によると、こんにちの物は元亀二年に建立されたものが火災で石面が焼けて、後に再建したものと伝わっているという。
一説(東町老人クラブ編平成24年11月発行『東町の昔を訪ねる』p.28)では、江戸時代の谷村藩主秋元喬朝公に処刑された郡内七義民を祀ったものともしているが、元亀二(1571)年は処刑を100年以上遡るので無理がある。一般的な六地蔵信仰の産物だと思われる。
向かって左は判読が難しい。
春にはショッキングピンクの石楠花が咲いて大変綺麗だが、グーグルマップに画像のアップロードを何度か試みたところ、都度グロ画像判定で？非表示とされてしまう。笑　4月20日頃が見頃だと思うので、ぜひ実地で見て頂きたい。